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アジア・シームレス物流展、4年ぶりリアル開催

コロナ前と同水準の賑わいとの声が各所で聞かれた
 

自動化・省人化・DX化へ熱視線

 (一社)日本マテリアルフロー研究センターは多彩な先端物流ソリューションの展示と最新テーマのセミナー・セッションプログラムで構成する「アジア・シームレス物流フォーラム(ASLF2023」を526日までの2日間、東京都大田区の東京流通センターで開いた。リアル開催は4年ぶりで、物流・マテハン企業などから約80企業・団体が出展した。開催にあたって松川弘明会長は「物流は途切れさせてはならない社会インフラそのもの」とその重要性を強調し、高品質な日本の製品や設備のアジア展開への期待を示した。
 最大ブースを構えた山善は4つのテーマ「作業者の熱中症対策」「モノ・ヒトをはこぶ」「倉庫業DX」「作業者の負担低減」にブースを区切って展示した。同社・産業ソリューション事業部戦略企画部の奥山真吾部長はブースについて「荷主と倉庫業の方の業務に貢献できる製品を厳選している」と説明。日ごろから提案している大風量スポットクーラー「クールレボリューション」やアムンゼンの重量物搬送の負担軽減に役立つ真空方式バランサー「イージーリフト」などだけでなく、これまであまり手を付けてこなかった倉庫業のDX化に寄与する提案も行った。物の保管に加えて検品から梱包、出荷まで行う倉庫事業者が増加していることとともに、追加された業務をいかに人を増やさず、より人を減らす方向に関心が高まっていることが理由だ。数十枚撮像で簡単にシステム構築ができるAI画像検査装置「EYEbeGenesis(アイビージェネシス)」はその一つ。PC本体やソフト、最低限の周辺機器をワンパッケージにすることで、人の目に近い検査を価格を抑えて実現できる。

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最大ブースを構えた山善。写真左の車体が eve autonomyの自動搬送車輛・システム「eve auto」。サブスク方式で導入しやすい

 山善ブース内に出展したeve autonomy(ヤマハ発動機とティアフォーが設立した合弁会社)はレベル4の自動運転技術を使った屋内外を走行できる自動搬送車輛・システム「eve auto」を出展。昨年11月の正式リリースから半年ほど経ち、現在では約20社で30台ほどが稼働するまで成長。車体幅を狭くして屋内でも稼働しやすく見直し、発売当時±10㌢程度であった停止精度も横方向には1㌢程度まで向上している。これにより、自動搬送だけでなく自動荷役も視野に入ってきていると同社の担当者は話す。
 伊藤忠商事はフィジカルインターネットサービスを24年春ごろに実装すると会場で発表した。共同配送を前提として、47都道府県の車両や倉庫、企業を、共通のルールを定めたシステムに接続する全国輸送サービス。自動で経路変更や区間単位の運賃、CO2排出量の計算が行われるため、共同配送のメリットを公平・簡便にシェアできる。同社の担当者は「本システムに接続すれば勝手に運送会社同士がつながるため、地域の運送会社も大手路線事業者と同様の営業活動ができるようになる」と説明。フィジカルインターネット推進の阻害要因であった大手路線事業者同士や荷主と運送会社の対立を商社という立場と共通システムを生かして解消を狙う。

■セミナー会場ほぼ満員

最新技術への高い関心

 展示会場の奥で開かれたセミナー会場にはどの回にも大勢の来場者が集まった。526日に開かれた「ロボティクス&自動化MHセッション」には150人収容の会場がほぼ満席となった。登壇したExotec Nihon(東京都港区)の立脇竜社長はフロアとラックを行き来できる3次元立体走行型の自動搬送ロボット「Skypod」を映像を交えて紹介。「拡張できる柔軟性と、スループットの短さが特長。注文が入ってから出荷まで5分で対応している利用客もいる」と説明。AGV大手として中国に本部があるQuicktronも登壇。Quicktron Japan(東京都千代田区)の石川良平営業部長は親機(昇降ロボット)と子機(搬送ロボット)を組み合わせて高密度保管ができる「QuickBin」を紹介。「親機1台に子機3台を組み合わせて作業待ちの時間をなくせる。ドイツで1時間に500コンテナをピッキングする導入例もある」と製品を紹介した。

2023625日号掲載)