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DMG森精機、金属AMの新機種投入

DMG森精機(株)

金属AMのワールドスタンダード機と位置づける「LASERTEC 3000 DED hybrid」

伊賀事業所で報道向けイベント

 DMG森精機は930日、報道陣向けに「伊賀事業所 メディアデー」を開催した。冒頭会見に立った森雅彦社長は「コロナ禍で世界的に工場の単純労働者が減り、自動化に舵を切る企業が増えた。自動化のためには工程を集約しなければならない。そうした要因で、わが社の製品にも急速に活気が出てきた」と挨拶。2030年ごろの目標として掲げた「8000~1兆円」という売上の達成に向け、前向きな姿勢を示した。
 会場で披露されたのが、レーザ金属AM機「LASERTEC 3000 DED hybrid」だ。5軸加工機をベースに複合加工と金属AM1台に集約し、切削加工と金属AMをワンチャッキングで行うことが可能に。ノズルから金属粉末とレーザを同時に噴射し、金属粉末を溶融・凝固させることで積層造形を行うDEDDirected Energy Deposition)方式を採用している。
 この方式は造形時間が早く大型ワークの積層に向いており、同機ではAMヘッドが縦向きの場合はφ400ミリ×1321ミリまで、ヘッドを旋回させることでΦ670ミリ×932ミリまでの積層に対応。金属粉末の切替も可能で、いわゆるバイメタル(異種金属の組み合わせ)にも対応するという。
 プレゼンテーションでAM開発部の廣野陽子部長が語ったのが、金属AMを巡る需要の変化だ。廣野部長は「AMが航空宇宙や医療等の高付加価値の分野にしか使えないという時代は過ぎ去ろうとしている。以前は積層造形で1からのビルドアップを目指すユーザーが多かったが、近年は『必要な箇所だけにちょっと積層する』という用途が増えている」と指摘。今後は修理修復や、必要な箇所だけにコーティングを行う「チョイ盛り」用途がメインになるとして、「そうした要望に応える金属AMのワールドスタンダード機として同機を開発した」とした。
 同機には積層状態を監視できるモニタリングシステムも搭載。積層品質を安定させてワーク不良を未然に防ぐことができる。廣野部長は「金属AM機を『大企業が味見で購入する』時代はすでに終わっており、生産に用いるためにはモニタリングにより品質が担保されているかを確認する必要がある」と、監視機能の必要性を語った。
 メディアデーでは、9月に開設された「修理復旧技能研修センタ」も披露された。全世界の修理復旧担当者の育成と技能向上を目指したもので、日立精機製のビンテージ機から最新の複合加工機、「MATRIS」などの自動化設備まで40台以上の機械を配置。5軸・複合化や自動化に幅広く対応する「スーパーサービスエンジニア」の育成を通じ、修理時間の短縮や機械の稼働率向上につなげていくという。

 20211025日号掲載)