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オーエスジー、タップ世界シェア30%以上

オーエスジー(株)

めねじの加工に使用するタップ。標準品だけでも約1万点ある

33カ国に拠点展開で「お客様の夢をカタチに」

 世界市場のニッチ分野で勝ち抜いている優良企業から選ばれる「グローバルニッチトップ」。経済産業者が今年度選定した113社のなかで、オーエスジーは世界シェア30%以上(同社調べ)のタップに代表される「ねじ切り工具」の製造・販売・技術サポート体制が評価された。

 自動車で約3千本、航空機で約1万本のねじが組み込まれている。激しい振動でボルトが緩まないように、ねじ穴加工には高品質で高性能なタップが使われている。電気製品から船舶まで加工するモノに応じてねじの大きさや形状が異なる。切削条件も複雑だ。オーエスジーはユーザーのさまざまな要望にスピーディーに応じるために、世界33カ国に拠点を展開している。
 カタログ掲載品はタップだけでも約1万点。おねじをつくるために必要な転造ダイス、さらにエンドミルやドリルなども含めば、提案・検討する選択肢は膨大だ。とくに特殊品は顧客の個別の要望に対応するために、コミュニケーションの質と量が重要となる。
 同社が掲げるスローガンは「shaping your dreams~お客様の夢をカタチに~」。グローバル展開を図るなかで得た情報(要望・夢)を、開発・製造現場で製品として具体化するとの思いを込めたものだ。
 担当者は、「よりはやくニーズをキャッチし、開発に着手することで、タイムリーに製品を供給できるように世界各地に製造・開発拠点を設けている」と話す。近年はM&Aにも力を入れており、全世界のグループ会社は現在90社以上に及ぶ。

あらゆる条件に対応
 ニッチトップを語るうえで外せない製品が2013年に市場投入した「Aタップ」だ。低速から高速、ステンレスや合金鋼など幅広い加工条件に対応するのが特長。様々な被削材に対応するために、用途別に揃えるコストと選定の手間を軽減する。
 開発のバックボーンになっているのが、会社に寄せられたタップ加工の技術相談。切りくずに関するトラブルが最も多かったことから、排出性の安定化に重点を置いている。切りくずは、工具や治具に絡みつくため、長時間の連続加工が難しく、最新鋭の工作機械が並ぶ加工ラインでも、トラブル対応のために作業者が拘束されることも多い。
 そこで刃先を切れ味重視の仕様に設定し、シリーズのスパイラルタップでは、切りくずの排出を促す不等リード溝を採用した。
 「いかに上手に切りくずを外に出すか、最適な溝の大きさと形状がノウハウになっている。切りくず問題の解決により加工コストと工具費が削減される。ひいては安心感につながる」
 加工現場には新旧タイプの違う機械が混在するケースが多く、使う工具も異なる。本体に取り付ける分、予備分も含めれば相当な数になる。そこでAタップに集約すれば「工具管理も楽になる」というメリットが市場に受け、世界各国でファンを増やしている。

横断PJで生産性向上
 さらなるニーズに応えるために、生産体制の強化を計画している。全社横断プロジェクト「OSG40」として、顧客、設計、製造といったすべてのシステムを独自のデータベースにつなげ、生産性向上を目指している。
 その一環として、超硬ドリルと超硬タップの増産に向けて、愛知県新城市に生産拠点「NEO新城工場」を今春稼働させた。IoTと自動化を取り入れたスマートラインを構築し、最新製品の生産、特殊品の多品種小ロット生産にも対応する予定だ。
 石川則男社長は、「小ロットと大ロットの両立に挑戦する。最適な生産計画を自動でつくるシステム『スケジューラー』や稼働状況が分かるモニタリング機能を導入し、設備、測定機、プログラムなどの共通化を進めることで、世界中のどこの工場でも生産できる体制『ONE FACTORY』を目指す」としている。

2020825日号掲載)