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牧野フライス製作所、立・横MCの機能を一台に集約

自動車金型の変化に即応

 牧野フライス製作所は122日、金型加工向け5軸制御立形マシニングセンタ(MC)の新フラッグシップ機「D2(ディーツー)」(=写真)を発売した。D2は同社初の7軸構成マシン。立形MCと横形MCの機能を併せ持ち、従来は工程分割が必須だった金型の上面(形状部)と側面(構造部)の加工を1台に集約できる。
 同社営業本部の髙山幸久本部長は「当社の金型加工機の受注の約6割を占める自動車金型では、軽量化に向けた樹脂化・ダイカスト部品化が急進展し、ハイサイクル成形のための冷却穴加工が増えるなど形状の複雑化も進んでいる。新製品のD2はこれらの変化に対応し、荒から穴加工、中、仕上げまでの加工を1台に集約することで、金型加工のリードタイム大幅短縮を提案できる」とアピールした。
 最大ワークは径2.1m、高さ1.7m。最大積載量は従来の立形MCV80S/90S)の約2倍(10㌧)に大型化した。軸構成はX2200×Y2300×Z1100×W700ミリの4軸に、テーブル(C360度)、主軸傾斜/旋回軸(A165/B±60度)を加えた合計7軸。出荷開始は218月。国内販売価格(税別)は15000万円。年間20台の販売を計画している。

「城壁」が剛性確保
 D2では堅牢な「城壁」構造によりクロスレール(W軸)を常に支え、Z軸の全ストロークで剛性を確保できる独自構造を採用した。
 「門形機の場合は主軸突き出しが長くなると加工性能が落ちやすいが、D2は主軸が上下どの位置にあっても、城壁に支えられたクロスレールが加工時の負荷を受け止める。ランプ型やレンズ型など背の高い深物金型の形状部加工を高品位に仕上げられるほか、主軸ヘッドを90度傾斜させた側面からの穴加工などにおいても高い剛性を確保できる」(同社)。なお、城壁の下部にはワークが入り込むことができ、幅が広い正方形金型でもテーブル旋回せず上面全てを加工できる。
 立形MCV80S/90S」で好評の、傾斜・旋回軸を持つコンパクトな5軸ヘッド(50番)も採用した。同時5軸の動作を主軸側で実現できるため、短いストロークで滑らかに動き、高速化が可能。特異点(主軸位置変化時の大きな軸移動)通過時の急激な回転動作も発生しづらく、良好な加工面を実現する。

20201225日号掲載)