日本物流新聞生産財と消費財の業界専門紙として半世紀を超す実績。
日本物流新聞社のWEBサイトでは、
ものづくりを支える工作機械、工具、ロボット、産業機器等の情報から、
ハウジングはじめ住まい・暮らしの様々なニュースをお届けしています。

検索

News

三共製作所、工作機械資料館が機械遺産に認定

「空間デザインアワード2022」や「第41回ディスプレイ産業賞」などを受賞した洗練された展示空間

「三共ファンになってもらうきっかけに」

 87日、三共製作所が静岡県菊川市の静岡工場内に開設した三共工作機械資料館の歴史的工作機械群(計137台)が(一社)日本機械学会が認定する「機械遺産」に登録された。本資料館は近代工業の発展を支えてきた工作機械の保存・展示を目的として202111月に同社が開設したもので、産業革命前後(17世紀末から19世紀初頭)の工作機械(88台)を系統別、時代順に並べて常設展示するほか、測定器や機構模型の展示なども行っている。

230810三共製作所_資料館_写真1.jpg

三共工作機械資料館の大澤隆館長

 同社の小川廣海会長兼社長がアメリカのヘンリー・フォード博物館の学芸員と知り合ったことをきっかけに、1980年から保存を目的に資料価値の高い工作機械を少しずつ集め始めた取り組みが、200台を超えるアンティーク工作機械のコレクションを築いた。欧米ではマザーマシンである工作機械を近代資本主義の発展を支えた遺物として、国立博物館などで展示しているのに対して、世界有数の工業国に成長した日本では工作機械を展示・学べる施設がわずかしかないことから資料館の設置を決めた。
 同館の大澤隆館長は施設の特長について「日本製の工作機械が3台しかないことが特長の一つ。ヨーロッパでは17世紀中頃に旋盤が発明されていたのに対し、日本に工作機械が初めて輸入されたのは19世紀半ば。そのため、工作機械の始まりの歴史を描く際、日本製の機械は登場しない。産業革命前後の世界の様々な機械を揃えている博物館は国内には他にない。機械遺産に登録された理由はそこにある」とする。
 大澤館長は「一番見に来てもらいたいのは学生さん」と付言し、「実際に工作機械を見て興味を持ってもらいたい。我々がやっていることはモノづくりですから、その原点である工作機械について発信していくことで、三共製作所の考え方や文化の源流を知っていただき、三共ファンになってもらうきっかけとなれば」と話した。

230810三共製作所_資料館_写真4.jpg

創業者の小川良平氏が使用していた日光精機製作所の芯なし研削盤(左)と「資料館の中で最も貴重」と大澤館長が説明する17世紀にイタリアで製造された木製旋盤 

(2023年8月10日号掲載)