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澁谷工業、レーザ加工機の自社展開催

澁谷工業(株)

初披露された新機種、超コンパクト型ファイバレーザ加工機「FALCON-S FIBER SPF4112」を販売開始

省スペース・低価格のファイバレーザ加工機発表

 澁谷工業は31011日の2日間、メカトロ事業部工場(金沢市)でレーザ加工機の自社展「インハウスショー」を開催した。ファイバレーザ加工機とCO2レーザ加工機を中心に、ファイバレーザ溶接機も交えた多数の機種を展示。なかでも見どころとなったのは、初披露の超コンパクト型ファイバレーザ加工機「SPF4112 FALCON-S ファイバ」(3月発売)だった。
 同機はこれまでCO2レーザ加工機のラインだった「FALCON-S」シリーズに、はじめて加わったファイバレーザ加工機。1250×1250㍉の加工範囲を持ちながら、機械寸法を2425×2425×1950㍉に抑えたことで、スペースに制約を抱える現場にも導入できる。
 「これまでのファイバレーザ加工機の多くは、4×8.5×10材クラスの大型機か微細精密加工に特化した機械。するとどうしてもハイエンドなマシンになり、価格も少なくとも5000万円以上と小~中規模の板金事業者が手を出しづらい状況だった」。執行役員 メカトロ事業部サイラス本部副本部長の勝田宏也氏はそう話す。「FALCON-S ファイバは、極端に言えば従来のFALCON-SCO2ガスレーザ機)からの入替提案が可能な機種。サイズは同等で、販売希望価格は税別4000万円に抑えた」(勝田副本部長)
 出力2kWのファイバレーザ発振器を搭載し、軟鋼は板厚12㍉、ステンレスは同6㍉までの切断が可能と、従来のFALCON-SCO2ガスレーザ機)の加工領域をカバー。そのうえでアルミは板厚6㍉、銅は同4㍉までが切断可能になるなど、CO2レーザ加工機では難しかった材質にも対応した。加工速度も向上し、CO2レーザ加工機と比べ消費電力が低くランニングコストが安い。「シブヤの機械らしく微細加工も得意。ファイバレーザのメリットを理解しながらも、価格やスペースがネックでこれまで導入を躊躇っていた企業に導入いただき、事業領域を拡げてほしい」という。
 会場ではほかに、昨年3月に発表したスイング式ファイバレーザ溶接機「FWL1000SH」の実演も披露。TIG溶接と比べ熱ひずみが少なく、習熟度に左右されない安定した溶接が可能な点を来場者にPRした。
 「従来のファイバレーザ溶接の弱点は、ビーム径が細いため突き合わせ溶接時に材料同士に隙間があると不良になってしまう点だった」と勝田副本部長。「しかしFWL1000SHはビームを最大5㍉スイングすることでこの点を改良。0.3㍉までの隙間なら溶接できる。スイングによる副次効果として、高品質なアルミ溶接も可能」という。
 1kWの発振器を搭載し、ステンレス・アルミなら厚さ3㍉まで溶接可能だ。「とはいえこのFWL1000SHの一番大きな利点は、誰でもTIG溶接の熟練工並みのキレイな溶接が行えることにある。さらに熱ひずみを圧倒的に抑制できるメリットもある。ひずみがほぼ発生せず、溶接後のひずみ取りという後加工が不要になるので、TIGと比べ大幅に生産性を上げられる」(勝田副本部長)と話した。

2022325日号掲載)