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山善、夏物家電などニーズの取りこぼしのない新提案を加速

お手入れ簡単な全分解仕様の「15cm DCサーキュレーター」(左)と、減煙焼肉グリルの最大サイズ「XGRILL GRANDE」は、裏面もフッ素コーティングをすることで手入れを容易にする(右)

節電志向からDCモーター搭載機増

 山善の家庭機器事業部(中山尚律事業部長)は1117日までの4日間、「オリジナル家電総合商談会」を東京都大田区の大田区産業プラザPiOで開いた。主に来年の春から夏にかけて発売する夏物家電(扇風機、サーキュレーター、パーソナルクーラーなど)や調理・家事家電、AV機器などを並べた会場には、流通業などから96社・345人が訪れた。家庭機器事業部の入部康久副事業部長は「今年は感染症の広がりも落ち着き、外出する人が多かったため、市場はモノからコト消費へと本格的に移行した」と振り返り、「電気代高騰の影響も相まって全体的には厳しい市場だが、エアコンの室外機カバーは今夏、当社だけで40万枚を超えるヒット商品となるなど、ニーズを捉えた製品はしっかりと売れている。ユーザーニーズやこだわりに対し取りこぼしのない提案が重要になる」と話す。
 1年を通してエアコンとの併用による節電効果を目的とした使い方が普及しつつあるサーキュレーターでは、同社が先駆けとなったお手入れが簡単にできる全分解シリーズのラインナップや機能を強化。同事業部商品企画1部の村上幸輔MDは「当社が切り開いてきた簡単なお手入れを可能にする分解機能は他社からの提案も活発になってきており、市場も拡がってきた。そうした中で、全方位に風を送ることのできるタイプやよりコンパクトに設置可能なモデルなど、ラインナップを強化し、さらに認知を高めていく」と話す。
 リビング扇風機に関しては節電・節約ニーズの高まりによって、DCモーター搭載製品の需要が高まっており、実際に売上構成比としてもDCモーター搭載製品が増えてきているという。
 「今夏の猛暑の記憶と今冬の電気代高騰を体感すると、来夏のDCモーターの構成比がより高まるのではないかとみている。他にも、23年のヒット商品である持ち運べるリビング扇風機やカラー展開の充実など、ニーズに対し取りこぼしのない提案をしていきたい」(村上MD

■調理家電・AV機器でも新提案

 近年、力を入れてきた新たな提案も実を結びつつある。3年前に発売してからお馴染みとなりつつある煙が立ちにくいホットプレート「XGRILL」シリーズには、8月から家族で食卓を囲むのに適したサイズの「XGRILL GRANDE」を追加。裏面もフッ素加工を施すことで、使用後の汚れ落としの手間を軽減する。他にも、10月に発売したオーブントースター「OPEN TOASTER」は前面扉や焼き網を取り外せるだけでなく、背面を開けることができる機構(特許取得済)になっており、お手入れに特化したモデルを提案した。
 AV機器でもCDプレーヤー世代には懐かしい形の「コンパクトDVDプレーヤー」を11月から販売。同事業部商品企画1部の松島康智課長は「まだまだDVDプレーヤーが必要になる場面があるにも関わらず、パソコンにはDVDが再生できないモデルがほとんど。生活空間の邪魔をしないコンパクトなDVDプレーヤーが求められている。モバイルバッテリーからの給電にも対応するため、設置場所にも困らない」と話す。
 こうした流れを受けて、同事業部商品企画1部の川邊一馬課長は「ここに並んでいる製品は、定番商品であっても新商品であっても、新しい視点、新しい分野、新しい機能など、何か今までにないセールスポイントを持っている」とし、国内市場がシュリンクしていくからこそ新たな提案をしていくことが重要性だとの認識を示した。

20231210日号掲載)